救急車を呼ぶべきか
救急車を呼ぶべきか親として考える選択肢
夜中に突然、子どもの体調が急変したらどうしますか?発熱、嘔吐、息苦しさ…親にとって、それは息が詰まるような瞬間です。「救急車を呼ぶべきか」「朝まで様子を見るべきか」—そんな迷いが頭を駆け巡る中、適切な判断を下すのは難しいものです。
こうした状況に備えて、今では「救急安心センター(#7119)」や「小児救急相談(#8000)」といった相談窓口が用意されています。これらは親にとって本当に心強い存在ですが、その一方で近年、救急医療の現場では新たな課題が浮上しています。それが、救急車の安易な利用増加と、それに伴う「救急車の有料化」に関する議論です。
増え続ける救急車の出動件数
救急車は、いつでも誰でも無料で利用できる日本の貴重な医療リソースです。しかし、この仕組みが十分に機能しなくなりつつあります。2023年には、全国で救急車の出動件数が過去最多の約764万件を記録しました。このうち、約半数が軽症患者で占められており、本来、救急搬送が必要な重症患者への対応が遅れる事態が発生しています。
この背景には、「とりあえず救急車を呼べば安心」という意識の広がりがあります。親として、子どもの命を最優先に考えるのは当然ですが、緊急性が低い場合でも救急車を呼ぶケースが増え、医療体制全体に負担をかけているのです。
救急車の有料化とその影響
こうした状況を改善するため、近年では救急車の利用に一定の費用を課す「有料化」が一部の自治体で始まりました。例えば、三重県松阪市では軽症患者が救急車で搬送された場合、7,700円(税込)の「選定療養費」を徴収する仕組みを導入。茨城県でも2024年12月から、緊急性が認められない場合に最大13,200円を徴収する制度が始まります。
有料化のメリットと課題
この取り組みにより、救急車の安易な利用が抑制され、本当に必要な人への迅速な対応が期待されています。しかし、一方で「経済的理由から利用をためらう人が増えるのではないか」「必要な人が助からないリスクを生むのでは」という懸念もあります。特に、子どもを持つ親にとっては、「迷ったら呼ぶ」という選択肢が制限されるのではという不安があります。
親ができること:相談窓口の活用
では、親としてどのように行動すればよいのでしょうか?救急車の利用を適切にするためには、まず相談窓口を活用することが挙げられます。「#7119」や「#8000」は、医師や看護師が状況をヒアリングし、緊急性を判断してアドバイスをくれる心強い味方です。
たとえば、夜中に子どもが高熱を出した場合、「何度の発熱なら救急車を呼ぶべきか」「朝まで様子を見てもよいのか」といった具体的な疑問に答えてくれます。また、応急処置の方法や、受診可能な病院の案内もしてくれるため、迷ったときに冷静な判断が可能になります。
親としての心構えと準備
私たち親ができる準備として、日頃から以下のことを心がけましょう:
- 相談窓口を登録: 「#7119」や「#8000」をスマホに登録し、すぐに連絡できる状態にしておく。
- 応急処置を学ぶ: 高熱やけがへの対応を事前に学び、冷静に対処できるようにする。
- 医療リソースを尊重する意識: 救急車は命の危険がある場合に使うものだと家族で共有する。
救急医療の未来を守るために
救急車の有料化は、私たちに適切な利用を促す一方で、必要なときに利用をためらわない仕組み作りが求められています。そして、子どもの命を守るために相談窓口や医療アプリを活用することは、親としての大切な選択肢です。
一人ではなく、多くの支援や情報を頼りながら、最善の判断をしていきましょう。私たちの行動が、未来の救急医療を支える一歩になるのです。