ことばが遅い? 3歳のわが子と向き合う日々
——「待つだけ」でいいのか、できることはあるのか
「ママ」「ワンワン」「ジュース」。
息子が言葉を話し始めたときの感動は、今でも鮮明に覚えている。言葉をひとつ覚えるたびに、私たちは大喜びし、何度も「そうだね、ワンワンだね!」と応えた。でも、3歳になった今、周りの子どもたちはどんどん言葉を増やし、「ママ、あっち行こう!」「おやつ食べたい!」と二語文、三語文を話している。一方、息子は単語を並べるばかり。「バナナ」「車」「行く」——確かに言葉は出るのだけど、繋がらない。
「うちの子、ことばが遅いのかな?」
そんな不安が、日々頭をよぎるようになった。
言葉の発達には個人差がある? でもやっぱり心配…
3歳の言葉の発達の目安を調べると、「二語文が出る」「質問が増える」「50〜200語の単語を使う」などが書かれている。確かに息子は単語の数こそ増えているものの、二語文はほとんど出ない。
「3歳過ぎたら、自然に増えるよ」
「男の子はゆっくりだから、大丈夫!」
そんな言葉を周囲からもらい、「個人差がある」と頭ではわかっていても、同じくらいの子がペラペラ話しているのを聞くと焦る気持ちは消えない。「私の関わり方が悪いのかな」「もっと何かできることがあるのでは?」——そんな思いが募り、私は意識的に「ことばを引き出す関わり方」を始めることにした。
「言葉を引き出す」毎日の工夫
まず始めたのは、「短い言葉で話しかけること」。
「ごはん たべる?」
「くつ はく?」
文章を短く区切ることで、息子も真似しやすくなると知った。また、息子の発した言葉を広げて返すことも意識した。
息子:「バナナ!」
私:「バナナ、おいしいね!」
たったこれだけでも、「バナナ おいしい」と言う機会が増える。言葉のキャッチボールを楽しむうちに、息子も少しずつ言葉をつなげるようになってきた。
また、遊びの中で言葉を促すことも大事だと聞き、ままごと遊びを積極的に取り入れた。
「ジュース のむ?」と聞くと、「ジュース のむ!」と真似しやすい。遊びながらなら、無理なく自然に言葉が出てくるのだ。
それでも気になるときは専門機関へ
工夫を重ねるうちに、少しずつ「ことば」は増えてきた。でも、3歳半を過ぎても二語文がほとんど出なかったり、言葉の理解が遅れている場合は、専門機関に相談した方がいいこともあると知った。
✔️ 二語文がほとんど出ない
✔️ 指示が通らない(「靴を持ってきて」と言っても通じない)
✔️ 発音が極端に不明瞭
✔️ 言葉以外の発達にも気になることがある
こうした場合は、地域の「ことばの相談窓口」や、小児科・療育センターに相談できる。私はそこまで深刻な状況ではなかったけれど、「相談してみてもいいんだ」という安心感を持てたことで、少し肩の力が抜けた気がした。
焦らず、でもできることはやってみる
今も息子の言葉は、同じ年齢の子に比べればゆっくりかもしれない。それでも、毎日少しずつ言葉が増え、「ママ、これ ちょうだい!」「ワンワン いた!」と二語文が聞こえてくるようになった。
「待つだけでいいのかな?」と不安になった日々もあったけれど、少し意識して関わるだけで、息子の世界は確実に広がっている。
ことばの発達は、一人ひとり違う。大切なのは、焦りすぎず、でも「できることはやってみる」こと。そして、どうしても不安が消えないときは、専門機関に相談する勇気を持つこと。
私は今日も、「言葉の芽」を大切に育てる日々を楽しもうと思う。