「平等より公平」が子育てをラクにする理由

兄弟育児で悩んだら知ってほしい、“同じ”にしなくていい育て方


■「同じように接してるのに、なんで不満が出るの?」

兄弟や姉妹を育てていると、こんな気持ちになることはありませんか?
「どちらにも同じようにおもちゃを買ったのに、文句を言われた」
「時間も手間も平等にかけてるのに、なぜか“ずるい”と言われる」

親としては、どの子にも分け隔てなく愛情を注ぎたい。
だからこそ、“平等に接すること”に一生懸命になりますよね。

でも実は、子どもにとっての「満足」は、平等=同じこと、ではありません。
ここに、「公平」という考え方が大切になってくるのです。


■「平等」と「公平」の違いとは?

まずは、言葉の違いをシンプルに整理してみましょう。

  • 平等(Equality): すべての人に同じものを与えること。
  • 公平(Equity): 一人ひとりに合ったもの・必要なものを与えること。

たとえば、兄と弟に「同じキャラクターのおもちゃ」を買ったとします。
でも、兄はもう卒業したキャラで、弟はまだ夢中。
このとき兄は「僕はいらなかったのに」と感じるかもしれません。

つまり、“同じもの”が“平等”でも、それがその子に合っていなければ「不満」に変わるのです。


■子どもが本当に求めているのは「見てもらえている」という実感

子どもたちにとって大事なのは、
「お母さん(お父さん)は、自分のことをちゃんと見てくれてる」
「自分に合った接し方をしてくれてる」と感じられること。

性格や発達段階、好みも違う兄弟姉妹に、同じ接し方をしても、
受け取り方も満足度もバラバラです。

むしろ、それぞれに合わせて対応することで、
「ちゃんと自分を理解してくれてる」という安心感が生まれ、
信頼や自己肯定感が育っていくのです。


■「公平な子育て」の具体的なコツと例

では、どうすれば“公平”に育てられるのでしょうか?
日常のよくあるシーンで、具体的に考えてみましょう。


●おもちゃやプレゼントを選ぶとき
× 同じぬいぐるみを2つ買う(平等)
◎ 好みや年齢に合った別々のものを買う(公平)
→ それぞれに「〇〇が好きだからこれを選んだよ」と理由を添えるのがポイント。


●勉強や習い事をサポートするとき
× どちらにも同じ時間だけ教える(平等)
◎ 理解度に応じて教え方や声かけを調整(公平)
→ 「お兄ちゃんは自分でできるから少しだけ手伝うね」「弟には一緒に考えよう」と伝える。


●手間や時間のかけ方
× 平等に時間を測って接する(形式的な平等)
◎ その子が「満たされる」と感じる関わり方(本質的な公平)
→ 長さよりも“気持ちの質”を意識して、目を見て話す、寄り添う、など丁寧な関わりを。


■不公平に“感じさせない”ために、必要なひと工夫

「公平に接しているつもりなのに、“ずるい!”って言われたらどうすれば?」

そんな時に大事なのが、理由を伝えること。

例えば、
「弟はまだ小さいから、一緒にやってあげてるんだよ」
「お兄ちゃんは、もう自分でできると信じてるからね」

これだけで、子どもの中にある“もやもや”がスーッと消えることがあります。
子どもは「分かった」「納得した」で心が整います。


■完璧な“平等”より、心に寄り添う“公平”を

子育ては、どうしても「平等にしなきゃ」と頑張ってしまいがち。
でも、兄弟姉妹だからこそ、「違いを尊重する」ことが大切です。

“同じ”ではなく、“その子に合ったもの”を選ぶこと。
そして、その背景をちゃんと伝えてあげること。

これが、子どもの心を満たし、家族の信頼関係を深める一歩になります。

「平等にしなくていいんだ」と思えたとき、
育児が少しラクになり、親子の時間がもっと愛おしくなるはずです。

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