自制心は才能じゃない

子どもの“待てない・我慢できない”に悩んだとき読む話


「うちの子、自制心がなくて…」
そんなふうに悩んだこと、ありませんか?
遊んでいても、順番を待てない。
怒ると、手が出てしまう。
欲しいおもちゃがあると、泣いて叫ぶ。

「このままで大丈夫なのかな…」と不安になる気持ち、すごくわかります。
けれど、安心してください。
自制心は、“生まれつきの性格”ではありません。

それは「育てる力」なんです。


■ 自制心って、そもそも何?

自制心とは、自分の感情や欲求をコントロールし、行動を調整する力のことです。

たとえば──
・友達が使っているおもちゃを「貸して」と言って、ちゃんと順番を待つ
・悔しくても泣き叫ばず、言葉で伝えようとする
・「もう少しで夕飯だから、今はお菓子をやめよう」と我慢する

こうした“ちょっと立ち止まって考える力”が、自制心です。
これは、社会で人と関わっていく上でとても大切な土台になります。


■ 自制心があると、どんないいことがあるの?

有名な「マシュマロ実験」では、自制心が高い子どもほど、
・学業成績が良く
・将来の仕事や人間関係も安定する傾向にある
という結果が出ています。

でも、誤解しないでください。
今できない=将来もダメ、ではありません。

むしろ、自制心は後から育つ力なんです。
そしてそのカギは、家庭での関わり方にあります。


■ 自制心は才能じゃない。環境で育つ

生まれつき自制心のある子、なんてほとんどいません。
たとえば3~4歳頃の子は、まだ感情のコントロールが未熟。
怒りや欲求がわき上がったら、それをそのまま表現してしまうのが自然なんです。

大切なのは、そこにどう関わるか


■ 年齢別・今日からできる関わり方

【3~4歳ごろ】
・「だるまさんがころんだ」など、待つ遊びを取り入れる
・「いま、貸してほしかったんだね」と気持ちを代弁する
・我慢できたときは、「待てたね!」と行動をことばにしてほめる

【5~6歳ごろ】
・パズルやすごろくなど、目標に向かって集中する遊びがおすすめ
・ルールのある遊びで、順番やルールを守る経験を増やす
・「あと少しで完成!」など、努力を見える形で認めると効果的です


■ 自制心を育てるカギは「親のお手本」

子どもは、大人の姿をよく見ています。

親が感情を爆発させて怒っていれば、
それを“普通の反応”だと感じてしまう。

だからこそ、まずは親自身が自制心を見せることが大切です。

たとえば──
「今すぐスマホを見たいけど、お皿洗いが終わってからにしようっと」
「お菓子食べたいけど、夕飯前だからガマンするね」

こんなふうに、我慢の姿を“言葉にして”見せてあげることで、
子どもは自然と学んでいきます。


■ 感情のコントロールには“安心”が必要

でも、忘れてはいけないのがひとつ。

自制心を育てるには、「安心できる土台」が必要です。

叱られるばかりの毎日では、
子どもは“怒り”や“不安”でいっぱいになってしまいます。

✅ まずは気持ちを受け止める
✅ 怒るのではなく、共感してから伝える
 →「そんなに欲しかったんだね。でも今日は買えないの」

子どもが「受け止めてもらえた」と感じると、
少しずつ自分で気持ちを整理する力が育っていきます。


■ 少しずつ、じっくり育てていこう

自制心は、すぐに育つものではありません。
だけど、「待てた日」や「怒らなかった瞬間」を見つけて、
そこにちゃんと目を向けていくこと。

そして、「今日もがんばったね」と声をかけること。

それが、子どもの心に“自分は成長できる”という希望を残します。

大丈夫。
今日もあなたの関わりが、
子どもの心にしっかり届いていますよ。

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