年収が気になる就活生へ
データで読み解く“後悔しない企業選び”の本質
はじめに:「年収が気になる」は、悪いことじゃない
「やりがいよりも年収が気になります」
就活中、そんな悩みを持つ大学生は少なくありません。でも、この気持ちは決して恥ずかしいことではありません。
マイナビの2024年卒学生調査によれば、就職先を選ぶ際の重視ポイント第2位に「給与・待遇」が入っています。49.1%の学生が“収入”を気にしているのです。
就職とは、人生の大半を過ごす仕事を選ぶということ。その選択の中で「どれだけ稼げるのか」を気にするのは、むしろ健全な姿勢です。
第1章:年収データの基本を押さえる
まず押さえておきたいのは、「平均年収」と「中央値年収」の違いです。
- 日本の平均年収(給与所得者):458万円
- 年収中央値:約373万円
実は“平均”は一部の高収入者が押し上げた数値であり、多くの人の実感とはズレがあるのです。就活で参考にする際は、「中央値」の方が現実に近い指標になります。
また、学歴によっても生涯賃金は大きく異なります。文部科学省と労働政策研究所のデータでは、大卒と高卒では約1億円の差があるとされています。
第2章:業界・職種による年収の差
年収を大きく左右するのは、「どの業界に入るか」「どんな職種に就くか」です。
たとえば、以下のような違いがあります:
業界 | 平均年収(参考値) |
---|---|
総合商社 | 約1,000万円 |
外資系金融 | 約1,200万円 |
メーカー(素材) | 約620万円 |
教育・福祉 | 約360万円 |
さらに、同じ会社内でも職種によって年収は大きく変わります。
職種 | 平均年収(例:doda) |
---|---|
戦略コンサル | 850〜1,200万円 |
ITエンジニア | 約600万円 |
営業職 | 約500万円 |
事務職 | 約370万円 |
つまり、「どこに入るか」だけでなく、「何をするか」も年収設計には欠かせない要素です。
第3章:年齢と役職による推移を知る
キャリアを進めていくと、年齢や役職によっても収入は変動します。
【年齢別平均年収(男性)】
- 25歳:330万円前後
- 30歳:410万円
- 40歳:530万円
- 50歳:620万円
【役職別平均年収】
- 主任:600万円前後
- 課長:800万円前後
- 部長:1,100万円以上
このように、「今いくらもらえるか」だけでなく、「将来的にいくらに届く可能性があるか」を見ることが大切です。
第4章:「お金」と「幸福」の本当の関係
収入が多いほど幸せになれるのでしょうか?
心理学者ダニエル・カーネマンの研究では、年収が800万円を超えると、幸福度の上昇は鈍化するとされています。つまり、「お金だけ」では満たされないのです。
実際に就活生の多くも「やりがい」「人間関係」「働く環境」などを重要視しています。
第5章:年収を上げたいなら「企業選び」がカギ
年収を高めるには、以下のような企業に注目すると良いでしょう。
✅ 評価制度が明確で、実力が反映される
✅ 昇進機会が早期に与えられる
✅ 海外駐在や子会社経営の道がある
✅ ストックオプションや成果報酬制度がある
初任給の額面だけで判断せず、将来の成長余地を見極めることが肝心です。
第6章:あなたは何を大切にしたいか?
最後に考えてほしいのは、「自分が大切にしたい軸は何か?」という問いです。
年収はひとつの重要な要素ですが、それだけで就職先を決めると、将来的に違和感が生まれることもあります。
- 長く働ける職場か?
- 成長できるか?
- 自分らしく働けるか?
このような視点と年収を両立して考えることが、後悔しない就活につながります。
おわりに:就活の正解は、ひとつじゃない
「年収が気になる」と思うのは、ごく自然なこと。将来を真剣に考えている証拠です。
大切なのは、目先の金額にとらわれすぎず、自分がどんな人生を送りたいのか、そのために何を選ぶのかを、じっくり考えること。
そして、必要な知識と判断軸を持って、納得のいく選択をしていきましょう。