社会人になる前に、知っておきたかった「お金」の話
春。
新しいスーツに身を包み、はじめて会社の門をくぐる。
誰もがそうして、大人の一歩を踏み出します。
でも、その一歩の先には、自由と責任、そして「お金」の世界が待っています。
社会人になるということは、はじめて自分の力でお金を得て、使って、管理していくということ。
「給与ってどう仕組みになってるの?」
「貯金と投資って何が違うの?」
「借金って本当に怖いの?」
そんな素朴な疑問を持つことは、むしろ自然なことです。
でも、そこで立ち止まってくれたあなたは、きっと未来を変えられる人です。
■ 収入の「仕組み」を知らずに、使い切ってしまう前に
まず知っておきたいのは、「給料=使えるお金」ではないということ。
会社から提示された額面の給与からは、健康保険や年金、税金などが差し引かれ、実際にあなたが受け取る手取りは2〜3割ほど少なくなります。
「えっ、そんなに引かれるの?」と驚くかもしれませんが、これは日本の社会保障制度がしっかりしている証でもあります。
重要なのは、「手取りベースで生活設計する」という感覚。
“月収25万円”ではなく“手取り20万円”でやりくりする思考が、後々の金銭感覚に大きな差を生みます。
■ 初任給こそ、「未来」に向けて使うお金
初めてのお給料。つい何かご褒美を買いたくなりますよね。
もちろんそれも大切。でも、もし1万円だけでも“未来の自分”のために使えたら?
それは、きっと数年後に何倍にもなって返ってきます。
たとえば本を買う。資格を取る。健康のために運動を始める。
初任給から「未来投資」を始めることで、あなたの自己肯定感は一段階上がります。
■ 貯金は、思い立ってからではなく「仕組み」で始める
「余ったら貯金しよう」は、ほぼ実現しません。
なぜなら、人は目の前のお金があると、つい使ってしまう生き物だから。
だからこそ、“先取り貯金”という仕組みが大事です。
給料が入ったら、まず貯金用に1~2割を移す。残りで生活をする。
これを自動でやってくれる「自動積立定期」や「給与天引き制度」などを活用することで、貯金は習慣になっていきます。
■ 投資は、焦らず、小さく、長く付き合うもの
最近ではSNSやYouTubeで「投資で儲けた!」という話を見かけます。
でも、初心者がいきなり株に飛び込むのはとても危険です。
まずは、生活に余裕ができてから。
「月に1万円くらいは貯金できるな」と思えたタイミングで、投資を考えてください。
おすすめは、国が推奨する「つみたてNISA」。少額から始められて、長期で資産形成ができる制度です。
投資の鉄則は、「時間を味方にする」こと。
毎月コツコツ積み立てていくことが、将来の安心につながります。
■ 借金=悪、ではない。目的と計画があれば「味方」になる
「借金」と聞くと、どうしてもネガティブなイメージを持つ人が多いでしょう。
確かに、計画性のないリボ払いや高金利ローンは避けるべきです。
でも、「融資」は必ずしも悪ではありません。
たとえば奨学金や住宅ローンは、人生に必要なタイミングで“未来に投資するための借入”です。
大切なのは、返済計画を立てた上で「なぜ借りるのか」を明確にしておくこと。
信用は一度失うと取り戻すのに時間がかかります。
だからこそ、計画的に、慎重に使うことを忘れないでください。
■ 最後に、お金は「目的」で動かすもの
お金は、感情ではなく目的で使うもの。
不安だから、寂しいから、ではなく「この出費は未来にどうつながるか?」を考えて使う癖をつけましょう。
目の前の誘惑にすべて応えていたら、気づけば何も残っていないかもしれません。
でも、計画的に使っていけば、「選択できる自由」が手に入ります。
社会人になるということは、自分の人生のハンドルを握るということ。
お金の知識を武器にして、自分で考え、選び、築いていく人生を始めてみませんか?
今なら間に合います。
今日の小さな選択が、未来の大きな安心につながりますから。