子どもが地震を怖がるとき|揺れた後の4つの対応

子どもが地震を怖がるとき|揺れた後の4つの対応

揺れが収まったあとも、子どもが「また来る?」「眠れない」と何度も確かめることがあります。子どもが地震を怖がるとき、安心させようとして「大丈夫」と言い切る以外に、何を伝えればよいのでしょうか。

子どもが地震を怖がるときは、①今確認できる事実を短く伝える、②怖かった気持ちを否定しない、③次に揺れたらすることを一つ決める、④睡眠・食事・登園登校など普段との違いを見守る、の順で対応します。「もう来ない」と約束するより、「今は揺れが止まっている」「情報を確認した」「次はここで頭を守る」と、確かめられる安心を一緒につくる方が実用的です。

2026年9月22日15時34分ごろ、茨城県南部を震源とするマグニチュード3.9、深さ約50キロの地震があり、茨城県・栃木県・埼玉県で最大震度3を観測しました。津波の心配はないと発表されています。大きな被害を伴わない揺れでも、子どもにとっては「家が動いた」「大人のスマートフォンが鳴った」という強い体験になり得ます。この記事では、地震を怖がることを止めさせるのではなく、事実・気持ち・次の行動を分け、家庭で確かめられる形にします。

01 / 事実

今分かる範囲だけ

公式情報で、震源・震度・津波・地域の安全を確認する。

例「揺れは止まった。津波の心配はないと出ているよ」

02 / 気持ち

怖さを採点しない

怖かった事実を受け止め、質問には同じ短い答えを返す。

例「びっくりしたね。何が一番怖かった?」

03 / 行動

一つだけ決める

次に揺れたときの場所、姿勢、連絡方法の一つを確認する。

例「この机の下で、頭を守ろう」

9月22日の地震で、分かったこと・分からないこと

今回確認できる事実は、発生時刻が9月22日15時34分ごろ、震源が茨城県南部、規模がマグニチュード3.9、震源の深さが約50キロ、最大震度が3、津波の心配がないことです。震度3は茨城県笠間市、栃木県宇都宮市・栃木市・佐野市・下野市、埼玉県加須市・久喜市・宮代町で観測され、関東の広い範囲で震度1〜2が報告されました。

一方、この情報だけで「もう揺れない」とは言えません。地震の発生日時を正確に予告することもできません。子どもへの説明では、分からないことを埋めるために断定を増やすより、今確認できる安全と、次に揺れた場合の行動をセットで伝えます。

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分けるもの 今回確認できたこと 言い切れないこと 子どもへの伝え方
現在 揺れは収まり、津波の心配はない この先、絶対に揺れない 「今は止まっている。津波の心配はないよ」
家の安全 家族で目視・避難情報を確認できる 見ただけで建物の安全を断定する 「倒れた物や割れた物がないか、一緒に見よう」
次の行動 安全な場所と頭を守る姿勢を決められる いつ、どこで次の地震が起こるか 「次に揺れたら、この机の下で頭を守る」

子どもが地震を怖がるときは、三つを同時に解決しない

子どもが「また来る?」と聞くとき、知りたいのは地震学的な予測だけとは限りません。「一人にならないか」「家は壊れないか」「次に何をすればよいか」が一つの質問に重なっています。そこで、返事を事実・気持ち・行動の三段に分けます。

  1. 事実:公的な地震情報を一緒に見て、「今は揺れが止まっている」「津波の心配はない」など、確認できた範囲を一文で伝える。
  2. 気持ち:「怖くない」「気にしすぎ」と直さず、「急に揺れて怖かったね」と体験を言葉にする。答えたくなさそうなら、質問を重ねない。
  3. 行動:安全な場所へ移る、頭を守る、靴を履くなど、その家庭と場面に合う次の動きを一つ決める。

質問が繰り返されても、毎回新しい説明を足す必要はありません。大人の答えが変わらないこと自体が、見通しになります。「今分かっているのはここまで。変化があれば大人が確認して知らせる」と、情報を確認する役割を大人が引き受けます。

短い返答の型:「今は揺れが止まっている(事実)。びっくりしたね(気持ち)。また揺れたら、この机の下で頭を守ろう(行動)」

「大丈夫」を、確かめられる言葉へ言い換える

「大丈夫」は、そばにいる気持ちを伝える言葉として悪いものではありません。ただし、「何が大丈夫なのか」が分からないままだと、子どもは同じ質問を繰り返すことがあります。約束できない未来ではなく、確認できた現在と用意した行動を言葉にします。

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言いがちな言葉 見落としやすい点 言い換え例 残る判断材料
「もう来ないから大丈夫」 将来の揺れを約束してしまう 「今は止まっている。新しい情報は大人が確認するよ」 誰が情報を見るか
「怖がりすぎだよ」 怖さを話しにくくなる 「どの音や動きが一番怖かった?」 子どもが困った場面
「防災の勉強をしよう」 直後は情報量が負担になることがある 「今日は安全な場所を一つだけ決めよう」 次にする一つの行動
「ニュースを見れば分かる」 繰り返し映像で不安が強まる場合がある 「必要な情報だけ大人が見て伝えるね」 見る情報と止める時刻

子どもが話し始めたら、正しい答えを急ぐより、質問の中身を一つ確かめます。「揺れること」「停電」「家族と離れること」では、必要な備えが違うからです。怖さをゼロにすることではなく、怖いときに確かめられる人・場所・行動を増やすことを目標にします。

年齢より、「どこまで自分でできるか」で変える

幼児期:一文と一動作にする

長い説明より、「揺れたら、ここで頭を守る」「靴はここ」のように短くします。ぬいぐるみやタオルなど、普段落ち着く物を避難袋の近くに置くのも一つの方法です。ただし、非常時に子どもが物を取りに戻らないよう、「大人が持つ物」と決めておきます。

小学生:役割を選ばせる

懐中電灯の場所を示す、家族カードを読む、靴をそろえるなど、安全を損なわない小さな役割を本人に選んでもらいます。責任を背負わせるのではなく、「自分にも分かる手順がある」という見通しをつくるためです。揺れている最中に荷物を運ぶ役割などは任せません。

中高生:情報源と連絡方法まで共有する

学校、習い事、通学中など家族と離れている場面を想定し、どの公式情報を見るか、どこで待つか、誰に連絡するかを本人と決めます。災害用伝言ダイヤル171を使うなら、録音・再生に使う電話番号を家族で事前に決めておく必要があります。操作方法を知るだけでなく、番号を紙にも残します。

不安を増やさない「家族の防災メモ」

防災用品を一度に完璧にそろえようとすると、大人にも子どもにも負担になります。農林水産省の家庭備蓄ポータルは、日常で使う食品を補充しながら備えるローリングストックや、乳幼児・食物アレルギーなど配慮が必要な人向けの情報を案内しています。家庭では、買い物の前に「誰に、何が、いつ必要か」をメモにします。

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確認欄 わが家の記入内容 子どもと確認する言葉
揺れたときの安全な場所 落下物・窓・家具から離れられる場所 「ここで頭を守る」
家族と離れているとき 学校・園の引渡しルール、集合場所 「迎えの方法が変わるときは先生の指示を聞く」
連絡方法 171で使う番号、遠方の連絡先 「電話がつながらないときは、この番号を使う」
子ども固有の必要品 薬、アレルギー対応食、眼鏡、安心できる物 「必要な物は大人が確認する」
情報を確認する人 気象・自治体・学校の公式情報を見る担当 「新しい情報は大人から伝える」

考え方を示す架空の記入例

子どもが一番怖かったこと:学校にいるとき家族と会えなくなること

確認した事実:学校には引渡しルールがあり、保護者は指定場所へ迎えに行く

子どもがすること:勝手に学校を出ず、先生の指示を聞く

大人がすること:学校の連絡方法と迎えに行く人を、年度ごとに更新する

メモは安心を保証するものではありません。分からない部分を見えるようにし、学校・園・家族へ確認する順番を残すものです。子どもには全項目を一度に説明せず、その子が気にしている場面から一つだけ使います。

家庭で見守る範囲と、相談につなぐ境界

文部科学省の保護者向け資料は、家庭での健康観察、心の健康に関する基礎知識、家庭での対応、学校や地域の相談機関をまとめています。地震のあとに質問が増えたり、一時的に甘えが強くなったりすることだけで、保護者が診断を決める必要はありません。まず、普段との違いを具体的に記録します。

  • 眠りにくい、夜中に目が覚めるなど睡眠の変化
  • 食欲、腹痛・頭痛の訴えなど身体面の変化
  • 一人になることや登園・登校を強く避ける変化
  • 遊び・会話・学習への集中が戻りにくい変化
  • 地震の映像や音に触れるたび、強い反応が続く状態

変化が強い、続く、日常生活に影響している、保護者だけでは支えにくいと感じる場合は、学校・園の養護教諭やスクールカウンセラー、小児科、自治体の相談窓口などにつなぎます。緊急性がある、けがや体調不良がある場合は、記事の情報より地域の医療・防災案内を優先してください。

相談するときは「地震が怖いと言う」だけでなく、いつから、どの場面で、睡眠・食事・登校にどんな変化があるかを伝えると、状況を共有しやすくなります。これは診断名を付けるための記録ではなく、支援する人と同じ事実を見るための記録です。

よくある疑問

「また地震が来る?」と何度も聞かれたら、毎回答えるべきですか?

短く同じ答えを返して構いません。「いつ来るかは分からない。今は止まっている。揺れたらここで頭を守る」と、分からないこと・今の事実・次の行動を一組にします。質問が何の不安を表しているか分からないときは、「揺れることと、家族と離れることのどちらが心配?」と一つだけ確かめます。

子どもにも地震ニュースを見せた方が、理解につながりますか?

情報を知ることは役立ちますが、同じ揺れや被害の映像を繰り返し見る必要はありません。保護者が公式情報から必要な事実を選び、短く伝える方法もあります。本人が見たい場合は、何を確かめるために見るのかを決め、見終える時刻を作ります。

どの程度なら、学校や小児科へ相談してよいですか?

「深刻かどうか」を家庭だけで判定してから相談する必要はありません。睡眠、食事、登園登校、遊びなど普段の生活に変化があり、それが強い・続く・家庭で支えにくい場合は相談の理由になります。いつから何が変わったかをメモして伝えます。

結論:「怖くない」に変えるより、確かめられる安心を増やす

子どもが地震を怖がるときの答えは、恐怖をすぐ消すことでも、未来の安全を言い切ることでもありません。今分かる事実を短く伝え、怖かった気持ちを受け止め、次にする一つの行動を決め、普段との違いを見守ることです。

優先順位は、①その場の安全、②公式情報、③子どもが怖かった場面、④家族の具体的な手順、⑤生活への影響です。防災メモには、完成した安心ではなく、次に家族で確かめることを残します。それなら、ニュースの揺れを不安の反復で終わらせず、子どもが「分からないときに何をすればよいか」を持てます。

出典

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