幼児期の学びで大切なことは?子どもの「考える力」を育てる関わり方

「幼児期から知育をした方がいいのかな」
「今やっていることは、将来の学びにつながる?」
「周りの子より遅れていないか心配……」
子どもの可能性を広げたいと思うほど、幼児期の学び方について迷うことがあります。
ただ、幼児期に大切なのは、将来の進学先を早くから決めることでも、知識をたくさん詰め込むことでもありません。
むしろ、
自分で考えてみる
試してみる
うまくいかなければやり直す
気づいたことを言葉にする
といった経験を積み重ねることが、これから学んでいくための土台になります。
この記事では、遊びや日常生活の中でできる、子どもの「考える力」を育てる関わり方を整理します。
「考える力」は、正解をたくさん知っていることではない
「考える力」というと、
難しい問題を解けること
をイメージするかもしれません。
でも幼児期では、もっと身近なところから始まります。
たとえば、
「どうしたら、この積み木は倒れないかな?」
「雨が降ったら、この水たまりはどうなるかな?」
「このお話の子は、どうして泣いたんだろう?」
といった問いに、自分なりに考えてみることです。
答えが正しいかどうかより、
「自分で考えてみよう」とする経験
そのものが大切です。
知育は「先取り学習」だけではない
知育という言葉から、
- 文字を早く覚える
- 数字を早く覚える
- 計算を先取りする
- 英語を覚える
- ドリルをたくさんする
といったことを思い浮かべる人もいるでしょう。
こうした活動が悪いわけではありません。
ただし、
できることを増やすことだけが学びではありません。
たとえばブロックで遊んでいるだけでも、
- 形を見る
- 大きさを比べる
- 順番を考える
- 崩れた原因を考える
- 別の方法を試す
といった経験があります。
日常の遊びの中にも、考える材料はたくさんあります。
1.すぐに答えを教えず、少し待ってみる
子どもから、
「これ、どうするの?」
と聞かれると、つい答えを教えたくなります。
でも、危険がなく、少し考えれば試せそうな場面なら、
すぐに答えを渡さず、少し待つ
という方法があります。
たとえば、
「どうしたらいいと思う?」
「どこまでできた?」
「他のやり方もありそう?」
と聞いてみます。
すぐに正解が出なくても構いません。
自分なりに考える時間をつくることがポイントです。
2.「なぜ?」を一緒に楽しむ
子どもは、
「どうして?」
「なんで?」
とたくさん質問します。
忙しいときには大変ですが、この「なぜ?」は学びの入口になります。
たとえば、
「どうして空は青いの?」
と聞かれたとします。
すぐに正しい説明をするだけではなく、
「なんでだと思う?」
と一度聞いてみてもよいでしょう。
子どもから、
「青い水があるから?」
「雲の向こうに青いものがあるから?」
など、自由な答えが出るかもしれません。
そのあとで、
「面白いね。一緒に調べてみようか」
と広げることができます。
大切なのは、
間違えないことではなく、「考えて確かめる」経験をすること
です。
3.試行錯誤できる遊びを取り入れる
子どもの考える力を育てるために、特別な教材が必ず必要というわけではありません。
たとえば、
- ブロック
- 積み木
- パズル
- 折り紙
- 粘土
- お絵描き
- 工作
などでも十分に試行錯誤できます。
積み木なら、
「どうしたら高く積める?」
「どの形を下に置いたら安定する?」
と自然に考えます。
うまくいかなければ崩れて、また作る。
この、
やってみる → うまくいかない → 少し変える → もう一度試す
という流れが、学びの大切な経験になります。
4.子どもの「好き」を深掘りする
子どもが何かに夢中になっているときは、それを学びにつなげるチャンスです。
たとえば恐竜が好きなら、
- 図鑑を見る
- 名前を比べる
- 大きさを調べる
- 絵を描く
- 粘土で作る
- 博物館へ行く
など、同じ興味からさまざまな活動へ広げられます。
親が、
「次はこれを覚えさせよう」
と決めるより、
子どもが今興味を持っているものから広げる
方が、集中して取り組めることもあります。
5.読み聞かせでは「正解」を求めすぎない
読み聞かせも、考える力を育てる機会になります。
ただ読むだけでもよいですが、ときどき、
「この子、今どんな気持ちかな?」
「次はどうなると思う?」
「自分だったらどうする?」
と聞いてみることもできます。
ここでも、正解を求める必要はありません。
「悲しいと思う」
「逃げると思う」
「私なら助ける」
など、その子なりの答えがあります。
自分が考えたことを言葉にする
経験にもつながります。
6.失敗したときは「何が分かった?」を一緒に見る
子どもが失敗すると、
「だから言ったでしょ」
と言いたくなることがあります。
でも、安全上問題のない失敗なら、それも学びの材料になります。
たとえば積み木が崩れたとき、
「崩れちゃったね」
で終わるのではなく、
「どこから崩れた?」
「次はどうしてみる?」
と一緒に振り返ってみます。
成功したか失敗したかだけではなく、
次にどうするかを考える
経験につなげます。
「できた・できない」だけで比べなくていい
幼児期は、子どもによって興味や発達のペースが大きく異なります。
文字が好きな子もいれば、体を動かすことに夢中な子もいます。
おしゃべりが得意な子もいれば、じっくり観察することが好きな子もいます。
だから、
「○歳なのにこれができない」
だけで焦らなくてもよいでしょう。
「できた・できない」だけではなく、
どんなことに興味を持っているか
どんな方法なら取り組みやすいか
前より何が変わったか
を見ることも大切です。
日常生活そのものが学びになる
学びは、机の上だけで起こるものではありません。
たとえば料理でも、
「卵はいくつ使う?」
「半分に分けたらどうなる?」
「先に何を入れよう?」
と考える機会があります。
買い物なら、
「どっちが重い?」
「あと何個必要?」
「どこに置いてあるかな?」
散歩なら、
「この葉っぱは何色?」
「昨日と何が違う?」
「どっちの道から帰る?」
と、身近な経験からさまざまな学びが生まれます。
特別な知育時間を増やすことだけではなく、日常の中で一緒に考えることも立派な学びです。
親が答えを先回りしすぎない
子どもが困っていると、親は助けたくなります。
それ自体は自然なことです。
ただ、毎回すぐに答えを出してしまうと、
自分で考えたり試したりする前に終わってしまう
こともあります。
そんなときは、
「まずやってみる?」
「どこだけ手伝おうか?」
と、必要な部分だけ支える方法があります。
全部任せるのでも、全部親がするのでもなく、
子どもができるところは任せ、難しいところだけ支える
という関わり方です。
「考える力」を育てる5つの関わり
日常で意識したいポイントを整理すると、次の5つです。
- すぐに答えを教えず、少し考える時間をつくる
- 「なぜ?」を一緒に楽しむ
- 試行錯誤できる遊びを取り入れる
- 興味を持ったことを広げる
- 失敗したあとに一緒に振り返る
どれも、毎日すべて行う必要はありません。
できそうな場面で少し取り入れるだけでも十分です。
まとめ|幼児期は「どれだけ知っているか」だけでなく「どう学ぶか」を大切に
幼児期の学びについて考えると、
「今から何を覚えさせればいい?」
という気持ちになることがあります。
でも、将来の進学先や学力を幼児期の一つの取り組みだけで決めることはできません。
だからこそ、
知識をどれだけ早く増やすか
だけではなく、
知らないことに興味を持つ。
自分なりに考える。
試してみる。
失敗したらやり直す。
分かったことを言葉にする。
そんな経験も大切にしてみてください。
子どもの「なぜ?」にすべて正しく答えなくても大丈夫です。
「どうしてだと思う?」
と一緒に考えるところから、学びは始められます。
焦って先へ進ませることより、今その子が面白がっていることを一緒に見つけ、考える時間をつくること。
その積み重ねが、これからさまざまなことを学んでいくための土台になっていきます。


