子どもに“戦争”をどう伝える?親ができる6つのこと
ニュースをつければ、連日のように映る“戦争”という言葉。ウクライナ、イスラエル、イラン…。どれも遠い国の話に思えるけれど、子どもは意外としっかり見ています。そして突然、「なんで戦ってるの?」「悪い人がいるの?」といった問いをぶつけてくることがあります。
そんなとき、私たち大人はどう向き合えばいいのでしょうか。
1. 「戦争=悪」ではなく「立場の違い」から伝える
子どもは善悪で物事を分けたがります。「悪者がいて戦争になったんだよ」と短く説明するのは簡単。でもそれでは本当の理解にはつながりません。大切なのは、「立場が違うと考え方がすれ違ってしまうことがある」と伝えることです。
たとえば「お友だちとおもちゃの取り合いをしたとき、あなたにも理由があったでしょ?」といった日常の経験にたとえることで、子ども自身の体験と結びつけながら理解を深められます。
2. 地図と年表で「背景」を視覚的に伝える
「ウクライナってどこ?」「イスラエルって何が起きてるの?」そんな質問には、世界地図や簡単な年表が効果的です。
たとえば、イスラエルとパレスチナの土地を巡る争いは、1947年の国連決議から始まり、現在も続いています。年表で「いつ何が起きたか」を一緒にたどることで、単なる対立ではないことを実感できます。
子ども向けの歴史絵本やYouTubeの解説動画もおすすめです。
3. ニュースは“一緒に見る”ことが大事
親が真剣にニュースを見ていると、子どももその姿を見て学びます。しかし、戦争の映像は衝撃が強すぎることもあります。
過激な映像や暴力的な場面は避け、できれば「子ども向け解説」を一緒に見るのがおすすめです。たとえばNHK for Schoolなどには、子どもにもわかりやすい説明が揃っています。
そして何より、「怖かった」「わからなかった」といった気持ちを、親子で話し合える環境をつくっておくことが、理解以上に大切です。
4. 質問に“正解”で返そうとしない
子どもからの問いに、完璧な答えを用意する必要はありません。
「なんで戦ってるの?」には「話し合いで解決できないほど、長い間問題があったんだよ」
「どっちが悪いの?」には「どちらも困っていて、それぞれに言い分があるんだよ」
そんなふうに、“正解”ではなく“考え方”を伝えることで、子どもは多面的な思考を学んでいきます。
5. 偏らない視点を育てるには
情報があふれる時代だからこそ、偏らない視点を持つ練習が必要です。日本のニュースだけでなく、海外メディアの翻訳記事などを親が読んで「こんな意見もあるんだって」と話すだけでも効果があります。
また、他国の子どもたちが描いた絵本や、手紙などを通じて、「遠い国にも自分と同じように悩み、願いを持つ人がいる」と実感できると、共感力も育ちます。
「もしあなたがその国に生まれていたら、どう感じると思う?」という問いかけも有効です。
6. 「平和とは?」を親子で語ろう
戦争をきっかけに、「平和ってなに?」を一緒に話す時間が生まれます。
「ケンカせずに話し合えること」
「困ってる人を助けようとする気持ち」
そんな抽象的なことも、親子の会話の中で少しずつ育てていけるのです。
そしてそれは、学校では教えきれない“生きる力”になります。
終わりに:ニュースの向こう側に「人」を見る力を
国際情勢を教えることは難しいようでいて、実は日々の親子の関わりの中でできることばかりです。
「一緒に考える」「話し合う」「想像してみる」
それだけで、子どもは着実に世界のことを“自分ごと”として理解していきます。
世界の出来事をただ怖がるのではなく、「なぜ?」「どうして?」と考えることができる子に育てる。
それが、未来をつくる私たち大人の大切な役割なのかもしれません。